航空母艦 アーク・ロイヤル






ビスマルク追撃戦その2 アークロイヤル攻撃隊


戦艦ビスマルク
VS  ×15機
    ソードフィッシュ雷撃機




まず午後2時50分ごろ、アークロイヤルから15機の第一次攻撃隊が出発しました。しかしこの時・・・・・・・・なんと攻撃隊はビスマルクを追跡中の英重巡シェフィールドをビスマルクと誤認してしまい、このあわれな重巡洋艦は味方の攻撃機に雷撃されてしまいました。
我らが巨大戦艦ビスマルクが巡洋艦の大きさのわけないだろう!失礼な上とんだ錬度のパイロットどもだな!けしからん!
アークロイヤルのパイロットたちもほとんど実戦経験が無かったんです。幸い1本も命中しなかったのでよかったんですが、実際のビスマルクへの攻撃はこの4時間後に延期されました。
そして夜7時になって発艦準備の整った第二次攻撃隊のソードフィッシュは、今度こそビスマルクを仕留めるために、激しいスコールの中アークロイヤルを出撃したのです。ビスマルクまでの距離は38km。攻撃隊はシェフィールドの誘導に従い、いったん同艦の上空に集合しあとで攻撃に移る手はずになっていましたが、8時ごろに同艦を視認した後、一度見失ってしまいます。再度発見したのはそれから30分後のことでした。
おやおや、随分と手際の悪い事だな・・・・
しかたがないんですよ。この攻撃に参加したソードフィッシュは、ビスマルクに奇襲攻撃をかけるために、逆探知を恐れてASV水上索敵レーダーを直前まで使用しなかったんです。あたりは真っ暗。そんな中電波誘導だけで目標にたどり着くのは難しいんですよ?
シェフィールドの上空に集結した攻撃隊は、夜8時47分、ビスマルクに対して各々が多方向から突入を開始しました!
ビスマルクも敵航空機の存在を認めるや否や、熾烈な対空砲火で応戦を開始した!
敵雷撃隊の攻撃は約30分にわたって続けられた!悪天候のため、ビスマルクは同時に多方向からの攻撃にさらされることはなかったが、敵小隊の何回にも及ぶ各方面からの突入によって対空砲火と回避運動はある程度無効化されてしまったのだ!ビスマルクの対空砲火はそれでもかなり強力なもので、スウォントン機には175発の弾丸が命中し、2機が雷撃を諦めたほどだ。
そうこうしているうちに、まずこの戦闘で初めて1本の魚雷がビスマルクに命中します。位置は左舷中央部です。





だがこの時命中した魚雷も最強戦艦ビスマルクに大したダメージを負わせることはできなかった!
この爆発の衝撃はビスマルクにわずかながらの浸水を生じさせただけでしたが、ビスマルクに最も深刻な損害を与えたのは次の命中魚雷でした。
第二小隊指揮官機のゴドフリィ・フォーセット大尉機が放った魚雷が、回避運動中のビスマルクのの付近に命中したのです。





映画「ビスマルク号を撃沈せよ!」より







この結果、舵の統制が利かなくなったビスマルクは、強風に流され円周運動をはじめてしまいます。







ねえ何で?・・・・何でよりにもよってそんな所ピンポイントで魚雷が命中するの?
大西洋上で英国艦隊を引っ掻き回した戦艦ビスマルクは、この魚雷のラッキーヒットによって、ようやくその高速の足を止めるに至ったのです。このソードフィッシュ雷撃隊の攻撃は、翌日にはフランスに到着していたはずのビスマルクを止めるための最後のチャンスでもありました。
ついていないといえば、もう一つある。7時48分ごろ、1隻のU-ボートU-556がアークロイヤルとレナウンの絶好の雷撃ポイントで両艦を捕捉していたのだが、魚雷が1本も残っていなかったために、攻撃できなかったということがあったのだ・・・・
もう完全にドイツ側は運に見放されてますね・・・・
もはやこれはまさしくアレですよ。神は英国の勝利を願っている。
そんなわけあるかァァァァアア!!



この魚雷の命中はビスマルクの舵を使用不能にしただけでなく、そのほかにも艦底に破口を生じさせたため、ビスマルクには浸水が始まり、艦内のいたるところにまで水が入ってくるような有様になりました。アークロイヤル攻撃隊は合計2本の魚雷を命中させたことになりますが、このとき合計3本の魚雷が命中していたとの説もあります。
ビスマルクではこの後に必死の復旧活動が行われたが、破損したビスマルクの舵は12度の状態で固定されていた。船外活動をしようにも、天候不順で海は荒れ放題だったため、まともに舵を回復させる事はついにできなかった・・・・最後を悟ったリュッチェンス提督は、本部にむけて次のようなメッセージを送信した。
『本艦は作戦続行が不可能になった。最後の一弾まで戦い抜く。総統閣下万歳。』
この後、舵をほとんど破壊されたビスマルクは強風に流されないようにするために、英艦隊が存在する風上に向かって5〜7ノットで進むことを余儀なくされます。この時、今までビスマルクを射程外より尾行し続けてきた重巡シェフィールドは、もののはずみで再びビスマルクに1万4000メートルまで接近してしまったため、ビスマルクは同艦にたいして発砲を開始しました。
今回は威嚇ではないぞ!ビスマルクの放った主砲弾は初弾にしてシェフィールドの1900mの近距離に着弾!第二斉射にして見事な夾叉を得たのだアアアア!そしてその後、煙幕を張って逃亡しようとするシェフィールドに四斉射の夾叉弾を浴びせ、同艦を小破させしめた。三名が死亡し、レーダーが使用不能となったのだ!
シェフィールドは高速で同海域を離脱しましたが、追跡艦がいなくなり、再び手負いのビスマルクを行方不明にしてしまっては元も子もありません。そこで、トーヴェイ大将は、付近を船団護衛中だった第四駆逐隊の5隻の駆逐艦に、26日の未明2時より船団を放置してビスマルクの追撃に向かうよう命令を出しました。ここでロイヤル・ネイヴィの誇る駆逐艦部隊とビスマルクとの間に戦闘が発生します。












ビスマルク追撃戦その3 第四駆逐隊


戦艦ビスマルク
 VS      
  
 4隻
 トライバル級駆逐艦

  1隻
   N級駆逐艦




ヴィアン大佐に率いられた第四駆逐隊の構成艦は、コサック、マオリ、シーク、ズールー、パイオランの五隻の駆逐艦です。このうち、ピオルンだけは、ポーランド海軍所属艦でした。ピオルン以外の駆逐艦はトライバル級です。



旗艦コサック




このクラスの各駆逐艦って英語にしては変な名前ですね。
トライバル級はその名が示すとおり、大英帝国内に存在するいろんな部族の名前をつけているんですよ。ほかにもグルカとかエスキモーとかあります。
ええ趣味しとるな。
・・・時刻は夜の十時過ぎ、駆逐隊は第一回目のビスマルクに対する攻撃を敢行します。
今回もまた暗闇の中なんですね。
そうです。小さな駆逐艦で巨大な戦艦に立ち向かうのですから、少しでも有利な条件で攻撃をかけねばならないのです。しかし戦艦が依然強大な敵である事に変わりはありません。でも誇り高いロイヤル・ネイヴィは怯んだりしないのです。見敵必戦。これこそが大英帝国海軍駆逐艦乗りにおけるジョンブル魂なのですよ。
人はそれを単なる無謀と言う。
無謀かどうかは実際の戦闘で証明される事です!10時24分に2隻の駆逐艦ピオルンとマオリはビスマルクの前方に突入を開始します。
2艦の距離はおよそ7000m以下!ビスマルクはピオルンに向けて主砲を発射し始めた!
この時最初の3斉射でビスマルクは夾叉弾をたたき出す!
このあと、約30分にわたってピオルンはビスマルクと砲撃戦を演じましたが、主砲弾が艦から18m圏内に落ちるやいなや、煙幕を張って一旦離脱しました。
駆逐艦が戦艦と砲撃戦ばかりやっても意味ないでしょうに。雷撃はしないんですか?
やりたくてもこのときの天候は最悪で、小型艦艇はうまく操艦できないほどの強風が吹いていた上、スコールの中辺りは真っ暗だったんです。その上、ビスマルクはレーダーで英駆逐艦を絶えず監視していて、測距儀で捕捉次第バカスカ主砲や副砲を撃ってきて接近する事ができなかったんですよ。ヴァリアン大将の指揮のもと、何度か他艦もビスマルクに接近して組織的な雷撃を試みようとしましたが、そのたびに正確な射撃を浴びせられ、退避を繰り返した結果、駆逐艦隊はこのときビスマルクを見失ってしまいました。
日付は変わって27日、時刻は深夜1時を過ぎました。駆逐艦ズールーは見失ったビスマルクを再度発見します。この時から行われた第二次攻撃はいよいよ魚雷による水雷戦が本格化することになります。
暗闇と悪天候の中、組織的な攻撃を諦めたヴァリアン艦長によってビスマルクに接触後、適宜魚雷攻撃を行うように命令を下された各駆逐艦はビスマルクに突入を開始しました!
まずビスマルクに近づいてきたのはズールーだった。ビスマルクはすぐさまこれに砲撃を開始したが、距離2.5kmの地点から敵は魚雷を4本放ってきた!しかしビスマルクはサーチライトでこれを発見!左右の推進スクリューをうまく使い、艦を回頭して見事に回避して見せたのだァ!
しかしその回頭の瞬間に、隙を見たマオリはビスマルクの真横3600メートルに接近!照明弾発射の後、2本の魚雷を射出。そして猛烈なビスマルクの砲火からの回避運動に移ったマオリが見たのは、ビスマルクにグリーン色の閃光があがる様子でした!
この直後、意表をついてマオリと反対側からビスマルクに反撃を受けることなく接近していた旗艦コサックは、3000メートルの近距離から魚雷を3本発射!ビスマルクの前甲板部には火光があがりました。
そのときビスマルクは一瞬速力を落とします。その隙をついて突進したシークは左舷後方3500メートルから魚雷を発射。ビスマルクからは水中爆発音が聞こえました。
お前等よってたかってろくに動けない戦艦に酷すぎるんだよオオオオ
ものすごい戦いぶり・・・・ですけどコレちゃんと命中していたんですか?
・・・・・実はよくわからなかったりもするんですが。このときの戦いは真っ暗闇の上、海は大荒れ、加えて雨も降っていましたから、視認性は最悪でした。命中時に発したとされる閃光などは星弾やビスマルク自身の砲火であったとされることもあります。コサックの放った魚雷によってビスマルクには火災が生じたとか書いてある本もありますけど。
この時ビスマルクは夾叉弾をたくさん得ていたようですが、一発も当たらなかったんですか?
至近弾によって、コサックのアンテナが吹き飛ばされた程度で、大した損害は与えられませんでした。
暗闇と天候が災いしたようですね。まあ、それを狙って攻撃したんですけど。
さっきから気になっていたんですが、ドイツ軍の艦艇は確かレーダー照準射撃ができるはずでは?なぜだかデンマーク海峡からずっと光学照準機で撃ち続けているように見えますが。壊れてたの?
レーダーは・・・その何だ・・・・そんなもの使用する必要はないほどビスマルクの光学照準装置は優れていたというわけだ。
レーダーですか?それはデンマーク海峡戦のときの第一斉射でぶっ壊れてから使用されてません。
それにしても初期不良が残ったまま大英帝国に挑戦するなんていい度胸してますね。
仕方がなかろう!急速な戦力化が求められたのだ!
さて、ここにきて満身創痍のビスマルクの状態は、舵機の故障によって操艦能力が喪失し、推進軸の回転による限定的な操舵を得るための7ノットの速度制限、さらに浸水によって艦が傾斜しているというものでした。しかし運命とは残酷なものです。そんなビスマルクの前には、ついに今まで追い続けてきたイギリス主力艦隊が到着してしまいした。
27日の朝8時43分、第四駆逐艦隊は自己の任務が完了した事を知ります。北東からは戦艦キングジョージ五世ロドネーが姿を現したからです。そして物語は終盤に向かいます。















ビスマルク最後の戦い 〜そして伝説へ〜


戦艦ビスマルク
VS
戦艦ロドネー


戦艦キングジョージX世


重巡洋艦ドーセットシャー


重巡洋艦ノーフォーク




副題間違ってますね。なにが伝説ですか。
だまらっしゃい!もうここまで追い詰められればあとはビスマルクの驚異的な耐久力をジョンブルどもにとくと見せてやってから華々しく散ってやるわァァァァァアアアア!!
まったく最後までハイテンションなんだから・・・・
ところでこの最終決戦に参加した英側の主力艦艇は、
排水量41000トン、16インチ砲搭載、ネルソン級戦艦ロドネー



  





プリンスオブウェールズと同型艦の排水量44400トン、14インチ砲搭載、戦艦キングジョージ五世



  





8インチ砲搭載重巡洋艦ノーフォークドーセットシャー




ノーフォーク



ドーセットシャー




の4隻だったのですが、カタログスペック的に見ると、ビスマルクの舷側装甲を貫く事ができたのは戦艦ロドネーの16インチ砲弾だけだったんです。ビスマルクは舵がほとんど死んでいると言っても、依然として砲や射撃指揮系統は健在だったので、英艦にとっても依然脅威である事に変わりはありませんでした。それと、これらの艦のほか、戦艦レナウン、重巡ノーフォーク、護衛駆逐艦とアークロイヤル艦攻隊が待機していましたが、最後までビスマルクとの戦闘には参加しませんでした。
さて続々とビスマルクのそばに集結してきた英国艦艇ですが、8時47分、初めに砲撃を開始したのは戦艦ロドネーでした。距離は約2万m。一方、戦艦キングジョージ五世もこれに倣おうとしましたが、ちょうど自艦とビスマルクとの間にはが降っていたので、測距儀で距離を割り出す事ができません。しかし、キングジョージ五世には最新型の284型水上索敵レーダーが装備されていました。そこで同艦はビスマルクに向かってレーダー射撃を開始したのです!





ビスマルクの近辺に立ち上る水柱




8時49分、ビスマルクもロドネーに向けて反撃を開始した。
このときのイギリス側の射撃精度は抜群で、ロドネーは、第二斉射目にしてビスマルクに夾叉弾をたたき出します。
キングジョージ五世も負けてはいません。8時53分に放った同艦の砲弾はビスマルクを夾叉。
そしてその直後です。2斉射目に放った砲弾の一発がビスマルクの前部上部構造物基部を貫徹!
上甲板部で炸裂して、火災を生じさせたのです!
また同時刻には重巡ノーフォークも砲撃を開始しだします。
ぬああ!しかしビスマルクの砲撃もこのときは正確無比だった!
8時59分までに放った11斉射のうち、3斉射がロドネーを夾叉している!
その後、トーヴィー長官は指揮下の戦艦にビスマルクと並進するように命令を出します。
その結果、2艦とビスマルクとの距離は約1万5000mの近距離にまで狭まりました。
その直後です。ロドネーの放った16インチ砲弾がビスマルクの前部砲塔のど真ん中命中!!
炸裂して、わずか1発の砲弾がビスマルクの1,2番砲塔を動作不能にさせたのです!
そ・・・・・・そんなバカなことってある?1発の砲弾で攻撃力が半減するなんて・・・・・
そのまたすぐ後、重巡ノーフォークの砲弾がビスマルクの前部射撃指揮所命中!
射撃指揮装置を破壊
しました。
2分後、今度はロドネーの16インチ砲弾がビスマルクの1番砲塔上部に着弾。炸裂して艦橋付近にいた多くの将兵の命を奪いました。まもなく、重巡ドーセットシャーも距離約1万8000mから砲戦に加わり、ここにおいて戦艦ビスマルクはイギリス艦艇に完全に包囲される形となりました。
9時5分、ドイツ艦との距離は縮まり、キングジョージ五世とロドネーの2艦は副砲まで撃ちはじめます。
そのころ、ビスマルクの艦内では破壊された前部射撃指揮所に代わって、戦闘回路を後部射撃指揮所に切り替えるよう、後部主砲塔群へ命令が下され、射撃目標をロドネーからキングジョージ五世に切り替えた。
そして距離1万1000メートルのキングジョージ五世に向かって、レッヒベルク少佐の射撃指揮において砲撃を開始した!





レッヒベルク少佐




ビスマルクの放った砲弾は、四斉射目にして見事、キングジョージ5世を夾叉する!
次の斉射は命中確実だった!
しかし・・・・・・・次の射撃を実施しようとしたその時、後部射撃指揮所には大きな振動が走る。
少佐は照準機の接眼レンズに思い切り顔を打ち付けてしまった。
衝撃から回復した後、彼は再度目標に照準を合わせ直そうと思い照準機をのぞき込んだが・・・・・・・
そこには敵どころか何も写らなかった。
この運命の瞬間に何が起こったのかというと、キングジョージ五世の放った砲弾が後部射撃指揮所上部にあった測距儀を粉砕したんです。ついに後部射撃指揮所も沈黙しました。
レッヒベルク少佐はもはや、後部の第三及び第四主砲塔に対して各個射撃を実施するよう命令するしかなかった・・・・・
交戦開始から25分・・・運に見放されたビスマルクは完全に統一された射撃指揮を行う事が不可能になったのだ。
一方このときまでに、キングジョージ5世はレーダー射撃によって、22斉射のうち14斉射を夾叉させるという命中率を誇っていたのですが、この頃から同艦には故障が頻発するようになり、発砲の衝撃でレーダーが破損してしまい、光学照準機での射撃を余儀なくされてしまいます。
同時刻、射撃を続けていたロドネーは、ビスマルクが同艦の搭載する魚雷の有効射程距離に入ったため、距離約1万mにおいて、水雷攻撃を開始します。
戦艦なのに魚雷攻撃ですか・・・・
合計6本の魚雷を発射しましたが、これはすべてビスマルクから外れてしまいます。ここで、ロドネイ艦長ダルリンプル・ハミルトン大佐は、自艦を後落しすぎたビスマルクに並進させるために180度回頭させますが、この瞬間にビスマルクは後部砲塔の個別射撃を再開してきました。
ビスマルクの後部砲塔群はいまだ生きていましたが、9時21分、キングジョージ5世の主砲弾がビスマルクの三番砲塔前楯に命中。貫通はしませんでしたが、爆発して三番砲塔も使用を不可能にしました。ここにおいて、ビスマルクの主砲は後部4番砲塔以外はすべて沈黙します。
しかし、この後突然、それまで快調に作動していたキングジョージ5世の砲塔群にも問題が発生します。
あの悪夢のデンマーク海峡でのプリンスオブウェールズの装填機構の不具合がキングジョージ五世にも発生してしまったのです!その結果、2番砲塔以外のすべての砲塔が使用不能になってしまいました。
そちらの新型戦艦も初期不良か。
でもこの状態でも命中弾をだしたんですよ。2門の砲では修正射もできないのに。
やっぱりロイヤル・ネイヴィーは偉大ですね。
ビスマルクの第4砲塔もまだ死んではいない!
このとき個別射撃になっていたにもかかわらず、ロドネーに至近弾数初をたたき出していた!
そのうちの一発が右舷艦首付近で炸裂、ロドネーの右舷魚雷発射管を破壊したのだ!
それがビスマルクの最後の抵抗らしい抵抗でした。
9時27分、ビスマルクの1番砲塔は突然復活して、天上に向かって1発咆哮をあげるかのごとく発砲しましたが、直後キングジョージ五世の主砲弾がそれに命中、3分後、4番砲塔の左砲が塔内爆発、その後最後の1門である右砲にもロドネーの砲弾が命中。ついにビスマルクはその全主砲が沈黙したのです。
うおおおおおおおおん!!
しかしビスマルクはいまだ洋上に浮かんでいました。イギリス艦隊は攻撃の手を緩めません。
ロドネーが2500〜4000mの超近距離から放った主砲弾は、炎上しているビスマルクの前部測距儀に命中、同部分は崩れ落ちました。ロドネーの主砲弾は、これとほぼ同時期に左舷水線装甲帯と主水平装甲を貫通し、左舷の汽缶室及び煙路に損傷を与えています。これによってビスマルクは煙突基部の上甲板部から機関の排煙を吹き上げるようになり、速度が更に低下しました。





ビスマルクに向けて超至近距離から砲撃するロドネー






9時40分、ヨタヨタと動くビスマルクとロドネーの距離は約7300mまで開きましたが、この時ロドネーの放った砲弾がビスマルクの二番主砲塔付近に命中。弾薬が誘爆し、大爆発が起こりました。砲塔後部の装甲鈑は吹き飛ばされて艦橋上空の空に舞い上がります。この爆発で二番砲塔の甲板部には大きな裂け目が発生し、二番砲塔の周辺では大規模な火災が発生しました。
その後もロドネーはビスマルクに5500m以下の至近距離から何発も何発も砲弾を浴びせかけます。
一方キングジョージ5世も、約7000m前後の距離からビスマルクにその主砲弾を叩き込み、ビスマルクの艦上や艦内をめちゃくちゃに破壊し続けました。
ビスマルクの舷側装甲を突き破った砲弾は、第一五区画にあった無線室を完全に破壊し、そこにいた乗員は全員即死しました。
同様に水線装甲帯を貫いた砲弾は、左舷前部の副砲弾薬庫内で爆発し、天蓋を吹き飛ばしました。その爆発による大量の破片が艦上に降りかかります。
また左舷機関区画の発電機に命中、炸裂した砲弾は変圧器から火災を生じさせました。
艦の後部に命中したロドネーの砲弾の赤熱した破片が四番砲塔バーベットに開いた穴より砲塔内部に侵入したため、砲塔下部で火災が発生。乗員は必死で四番砲塔弾薬庫に注水をしました。またこのころ、前部マストが倒壊しています。
同時に、重巡のノーフォークやドーセットシャーの砲弾も、ビスマルクの甲板に多数が命中。損傷を与えています。
ひどい・・・・もう完全ななぶり殺しですね。
フッドのお返しです。思い知りなさい。
イギリス人を怒らすと恐ろしいって本当なんですね・・・・
フッ・・・しかし不沈戦艦ビスマルクはこれだけの攻撃をうけてもまだ沈まんッ!
ビスマルクはいまだ沈まんのだアアアアアア!!
ビスマルクの浮沈性は世界一ィィィィィィイイイイイイイイイイイ
まったくいつになったら沈没するんでしょうね。・・・・・このころ、ビスマルクは完全に廃墟になりながらも、頑固に浮かび続けていました。ビスマルクの艦上は激しく炎上しています。しかしいまだに機関は生きていて、ゆっくりとではありましたが、自走を続けているのです。しかもメインマストには戦闘旗が風にはためいています。もうここまでくると何か不気味な感じがしますね・・・
ここで、戦艦ロドネーは再び魚雷攻撃をしようと、破壊されていない左舷発射管のみを用いてビスマルクにむかって雷撃態勢をとります。2700mで初めに発射された魚雷は命中確認ができなかったものの、2分後に再度発射された魚雷はビスマルクの艦中央部に命中しました。
命中って・・・戦艦から発射された魚雷が命中したのは史上初なんでは・・・・・
それでもビスマルクはまだ浮いている・・・・・燃える廃墟になりながら。一方リンデマン艦長はビスマルクの全砲塔が沈黙した時点で苦渋の決断をし、艦内にむけてある命令を発していた。自沈命令だ。この頃その作業は実行されだした。ビスマルク艦内では、乗員達がこの命令を受けて作動中のあらゆるポンプを注水に切り換え、艦内にに海水を送り始めた。
しかしここで驚くべき事が判明した!ビスマルクの三機の主機はまだ無事に生きていたのだ!
あれだけの砲弾の洗礼を浴び続けたのにもかかわらず・・・・・・・ビスマルクは未だ自力で航行が可能だったのだ。
そこで作業員は、浸水の激しかった左舷を除く機関区画でキングストン弁を開放し、冷却機用吸水口に自沈用爆薬をしかけた。
ビスマルクの艦内でのそういった作業の合間にも、英戦艦の砲撃は絶え間なく続けられました。
10時をまわった頃になると、キング・ジョージ五世は3000mの近距離まで近づいて、更にビスマルクに向けて砲弾を浴びせかけます。
同艦の命中弾によってビスマルクの二番砲塔は再び爆発炎上し、前部司令塔付近にも命中、さらに艦橋の上部構造物を破壊しました。
ロドネーも同様の距離から主砲・副砲の全砲門をもってビスマルクを撃ち続けました。
ビスマルク艦内の酒保区画で炸裂したロドネーの砲弾は、副長エールス中佐以下多数の乗組員を殺傷させました。
また命中した砲弾は艦尾部分を粉砕し、火炎と煙が発生するのが観測されています。同時に砲弾は1番砲塔にも命中し、付近に猛烈な火災を生じさせています。
重巡洋艦のノーフォークとドーセットシャーもビスマルクに対して砲雷撃を続けました。
10時10分ごろ、ノーフォークは3600mの距離で発射管から4本の魚雷を射出します。
この魚雷はビスマルクの右舷に命中するのが観測されました。
10時15分ごろになると、退艦命令が発令されたビスマルクからは生存者が海に身を投げる様子が散見されるようになります。
ビスマルクはまだ洋上に浮かんでいました・・・・・しかしこの頃、英戦艦の燃料が尽きかけてきたため、トーヴェイ長官はついに砲戦を諦め、各艦に対して、魚雷攻撃をもってビスマルクに止めをさすよう命令します。
既に戦艦の随伴駆逐艦2隻は燃料不足のため帰途についており、ノーフォークもロドネイも魚雷を撃ち尽くしていました。
しかし、重巡ドーセットシャーのみは魚雷を有していたので、同艦はビスマルクに対して雷撃態勢をとります。
ちょうどその時刻だった。ビスマルクの自沈用爆弾の設置が完了し、機関科員や応急班員が退避したのは・・・・・
艦内の奥深いところで断続的に爆弾は爆発しだした。
ドーセットシャーは1500mの距離から右舷めがけて魚雷を投下しました。
ビスマルクの自沈用爆弾が爆発しだしてから数分後、その1本は艦橋下部もう1本は右舷後部に命中します。
この直後、ビスマルクの艦尾部分が脱落して海に落っこちました。ビスマルクの艦尾は少しづつ沈降していきます。
また、徐々に左に傾斜していきました。上空ではアークロイヤルから発進したソードフィッシュが見守っています。
ドーセットシャーは再び魚雷を放ちました。10時34分のことです。これは左舷の司令塔下部に命中しました。




燃える廃墟と化したビスマルク




この頃すでにビスマルクは大きく左に傾斜しており、艦首を持ち上げつつ、その左への傾斜速度を速めて行った。
その中で、リンデマン艦長は傾斜が強まる艦首先端へ歩いて行き、艦首旗竿の先端に辿り着くやいなや、白い軍帽のひさしに手をさっと上げ、海中の生存者に向けて決別の敬礼を送ったのである。完全に横腹を見せたビスマルクは艦首先端で敬礼する艦長と共に、静かに横倒しになって沈んでいった・・・・・時に1941年5月27日、10時39分のことだった。
戦闘が開始されてから2時間が経過していた。こうしてドイツ最大の戦艦の短い生涯は幕を閉じた・・・・・
11時ちょうど、ビスマルクの沈没から20分後のことです。チャーチル英首相は対ビスマルク作戦のために教会に集まっていた下院議員たちの前でこう述べました。
「私はたった今、ビスマルクが撃沈されたというニュースを受け取った。」
その瞬間に沸き起こった拍手喝采はとても大きく、いつまでも続きました。













・・・短いながらも、波乱に富んだ人生だったのですね。結局どれだけの砲弾が命中したんでしょうね?
ヴィクトリアス艦攻隊から最後の戦闘まで推定魚雷命中数は8〜13本!!
この最後の戦いでの
戦艦ロドネーの射撃弾数は主砲380発副砲719発
戦艦キングジョージ五世の射撃弾数は主砲339発副砲660発
重巡洋艦ノーフォークとドーセットシャーの射撃弾数は合計主砲781発!
命中弾の合計は400から600以上とも言われる!!
このうちビスマルクの舷側装甲を貫通できる能力があったのはロドネーの砲弾のみだった!
しかしジェームズ・キャメロン監督の「海底の戦艦ビスマルク」によれば、英艦艇が放った2876発の砲弾のうち、ビスマルクの甲板まで含めた装甲を貫通したのはたったの3発であったという!!
ナチスの科学は世界一イイイイイイイ!!
ロドネーの16インチ砲を基準にィィィイイイイイイイ
このビスマルクの装甲は作られておるのだアアアアアアアア!!
さらに監督によるビスマルクの船体調査によって、最後にドーセットシャーの放った魚雷の衝撃はすべて魚雷防御隔壁で防がれ、艦内にダメージを与えていなかったことが判明!
ビスマルクは自沈したのだッ!
ドイツの栄光は守られた!
プ。キャメロンがソースですって・・・・・
ビスマルクの同型艦のティルピッツも、生涯に受けた英空軍による空襲の回数は14回!
作戦機数はのべ626機!命中した爆弾は20発、至近弾3発を受けている!
ふふふふ・・・・・・・・・・改めて言おう。
ドイツ戦艦の防御力は世界一ィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!
つーか、攻撃してなんぼの戦艦がすべての砲が沈黙してるのに浮かび続けるのは意味無いですね。
ドイツの第一次大戦からの伝統ですか?戦艦が浮かぶ鉄屑になるのは。
うるさァァアアアい!常に物量において劣るドイツの戦艦は浮いてさえいれば再び曳航・修理して使う必要があったのだ!
で、結局のところ、ドイツのビスマルク級戦艦はその費用に対する効果があったのでしょうか?
ほら、あのオペレーションズ・リサーチとかいうの。
そうですね・・・・ビスマルクの場合は何と言っても、我が軍の巡洋戦艦を1隻撃沈、戦艦を中破していますからね。
それにイギリス本国艦隊を引っ掻き回したことも事実ですし、ビスマルクの追撃のために戦艦や駆逐艦隊は大切な輸送船団を放置したりもしています。戦艦ロドネーはこの追撃戦のせいで足回りが壊れ、帰路の途中で駆逐艦1隻が航空機に撃沈されました。まあ、元は取るぐらいの活躍はしたんじゃないですか?
イギリスにとってむしろ痛かったのは、ビスマルクの同型艦のティルピッツのほうだったと思います。
イギリス海軍は総力を結集してビスマルクを撃沈したわけですが、ティルピッツはソ連向けの商船団を攻撃するため、ノルウェーのフィヨルド内に潜伏しました。これに恐れおののいたイギリス側は、以降、北海を通過するコンボイに強力な護衛戦力をつけることを強いられました。時には戦艦まで動員したこの海上護衛任務のコストは決して安いものではありませんでした。しかもそれにもかかわらず、悲劇はついに発生してしまったのです・・・・1942年夏の船団PQ17の壊滅です。ティルピッツ出撃の報に、護衛していた4隻の重巡洋艦と9隻の駆逐艦が退避してしまい、残されたPQ17は空襲やUボートによって33隻のうち22隻が撃沈されてしまいました・・・・・この鼻先にある脅威を取り除こうと、イギリスは何度と無く航空攻撃や特殊潜行艇で攻撃をかけますが、さすがビスマルクの姉妹艦だけあってティルピッツはなかなか沈没せず、やっとランカスターから投下された5トン巨大爆弾を4発くらって大破着底したのは終戦6ヶ月前のことでした。
フフフ・・・・・そのティルピッツの存在感も、ビスマルクの大活躍あってこそだ。
ビスマルク追撃戦での戦いぶりにチャーチルやルーズベルトは相当恐れをなしていたことを回顧録等で記している!
そこまで連合の大きな脅威であったからこそビスマルクは戦後、『ビスマルク号を撃沈せよ!』という有名な映画にもなったのだ!興行収入的にも大成功だ!!






興行収入って・・・・戦後の効果狙ってどうすんですか。
ドイツ戦艦の費用対効果は世界一ィィィィィイイイイイイイイイ!!!
まあ、どこぞの国とはいいませんが、巨大戦艦として作られたのにホテルとしてしか使われなかったような
惨めなのもありますからね。それに比べればビスマルクは作って損することもなかったんでは。
うわさによるとその戦艦、2隻も建造されたんですってね。
無理してドイツから工作機械を輸入して作ったそうですよ。見栄っ張りもいいとこですよね。
しょせんエテ公には戦艦のような大型艦艇を米英軍のように上手に運用するのは不可能だったんですね。
別にどこの国とはいいませんが。
しかもそんな船が「海軍の象徴」とか言われて崇められたそうですよ。
同じ海軍の象徴といっても、エンタープライズやウォースパイトなんかに比べてえらい違いですね。
なぜいきなりそこで国辱談話にもっていくんだ・・・・・












かつて一隻で一つの国を屈服させるほどの力を持った戦艦があった・・・・・

スター・ウォーズのデス・スターのような無敵艦――――――――それがビスマルクである
まあ何にもましてそんな船を撃沈したロイヤル・ネイヴィーが世界一ということで結論ですね。





〜fin〜



参考文献・リンク・関連書籍など

http://www.bismarck-class.dk/index.html
http://www.kbismarck.com/operheini.html


ジェームズ・キャメロン 海底の戦艦ビスマルク


戦艦ビスマルクの最期ハヤカワ文庫 NF 82

ビスマルク号を撃沈せよ!


大西洋に眠る戦艦ビスマルク


大西洋・地中海の戦い―ヨーロッパ列強戦史 光人社NF文庫


戦艦ビスマルク発見


1/700 ウォーターラインシリーズ 戦艦ビスマルク


1/700 ウォーターラインシリーズ ロドネイ